私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「何怯えてるんだよ」
「お、怯えてなんかないわよ!」
「どう見ても怯えてるだろ。怖かったのか?」
「違うから!」
たとえその通りだとしても、ニヤニヤしているフェリクスに対して素直に認めることはできない。
私が怖がりだと知ったなら、この男はこれから先もずっとこの件でバカにしてくるに決まっている。
「何か見つかったか?」
「今探しているけど、まだそれっぽいものが……ん?」
本に目を落とすと、『体と意識が離れて』という一文が目に入った。
「あったわ!」
「えっ!」
2人で本を覗き込み、私が指した部分をお互い頭の中で読んでいく。
まぁフェリクスは声に出しても私以外には聞こえないのだけど。