私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
フェリクスと言い合いをしている時、突然私の名前を大声で呼ばれた。
公爵令嬢である私を敬称をつけずにフルネームで呼ぶなんて、なかなかないことだ。
それだけで何か良くない理由で名前を呼ばれたというのがわかる。
声のしたほうを見ると、王宮騎士団の騎士数人と王宮の執事、そしてドロテがこちらを向いて立っていた。
「アリエル・ブランシュ! あなたをフェリクス殿下殺害未遂の嫌疑で身柄を確保いたします」
「え!?」
フェリクスの殺害未遂!? 私が!?
私の隣にいるフェリクスが「違う!」と叫んでいるが、もちろんその声は届いていない。
なんの冗談かと言いたいけれど、私に向けられている軽蔑の眼差しを見ればこれが冗談ではなく本気なのだとよーーく伝わってくる。