私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】
「フェリクスのお見舞いに行けなくて残念だったでしょ? フェリクスも残念そうだったわ。私が『アリエルはお見舞いに来たくないんですって』と伝えたら、落ち込んでいたもの。ふふふ」
「…………」
「あと、あのピンク色の宝石のネックレス。あれね、本当はアリエルへのプレゼントだったのよ。私が代わりに渡すことになってたんだけど、可愛かったから私が貰っちゃったわ。フェリクスには『趣味じゃないからお礼もないのかもしれないわね』って言っておいたわ」
「……なんだよ、それ」
フェリクスが力なく呟いたが、聞こえていないドロテは話を続けた。
「あっ、あとあなたがフェリクスのために刺繍したあのハンカチは、私からのプレゼントとして渡しておいたわ。フェリクスはあなたからは何も貰ってないと思っているはずよ。だから、気まずくて渡しにくいと言っていたネックレスを私が代わりに渡すって申し出たのよ」
「私からだと思ってなかった……?」
だから……だから何も言わなかったの?
それなのに、私の誕生日にはプレゼントを用意してくれて……。