私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】

 ニヤニヤと笑っていたドロテの笑みが消えて、急に真剣な表情に変わった。
 どこか思い詰めているような何かに諦めているような、冷めた目つきをしている。

 ドロテのこんな表情を初めて見た。


「気に入らなかったのよ。今は使用人達もみんなアリエルと一緒に私のことも特別扱いしてくれるけど、将来アリエルが王妃になったらもう私とは対等じゃなくなるんだって」

「え?」

「小さい頃からずっと3人で仲良くしてたのに、私だけただの貴族でアリエルは王族になるんだって思ったら……許せなくて」



 ……何、それ。
 私だけ王族になるのが許せない? 対等じゃなくなる?

 そのために、私とフェリクスを仲違いさせようとしたの?



 どうにも理解できなくて、怒りすら湧き上がってこない。
 呆れの感情でいっぱいになりながら、目の前で堂々と自分勝手な言い分を述べるドロテを見つめた。
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