私に婚約破棄しようとしてきた王子が、階段から落ちて意識不明になりました【コミカライズ決定】

「ふ……っざけるな! そんなくだらない理由で、俺達をずっと騙していたのか!?」

「!」


 あまりの怒りにフェリクスが大声で叫んだ。
 ドロテに対してこんなに怒鳴っている姿を見たことがないため、つい驚いた表情を向けてしまった。


「? どこを見てるの? 私の話を聞いてる?」

「あ。き、聞いてるわ」

「なんで急に全部正直に話したのか気になっているんでしょう? 実はね、今あなたを隣国の第2王子に嫁がせようという話になっているのよ」

「隣国の第2王子!?」
「なんだと!?」


 私と同時にフェリクスも声を上げた。


「本当は私が嫁ぐことになっていたの。でも、私は嫌だったのよ。だって隣国の第2王子といえば、醜いと有名な王子でしょ? 冗談じゃないわ」


 隣国の第2王子は、とにかく怠惰な性格だと有名な王子だ。

 風呂に入るのを拒み、動くことを拒み、ただひたすら部屋の中で甘いものを食べているため、異常なほどの肌荒れと肥えた体をしていると聞いたことがある。

 誰もが嫁ぐのを拒むその王子の元に、ドロテが嫁ぐ予定だった?
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