嘘はやがて、花を咲かせる。
それから数週間が経過し、生徒会役員選挙は無事終わった。
次年度生徒会の会長は、私。副会長は…香織。
無事、信任された。
「…渡里。次もよろしくな。白石も」
放課後の生徒会室には、私と香織と、長谷田先生がいた。
「…また、生徒会担当は長谷田先生ですか」
「んだよ。そうだったら何か文句があるのか」
文句あるわ。
この1年を思い返してみろよ。
お互い口を閉ざして睨み合う。
間に挟まれている香織は、口を尖らせた。
「散々、紗奈をいじめた長谷田先生は不信任です。不信任決議案を提出します」
わざとらしく手を挙げてそう言う香織。
長谷田先生は、わしゃわしゃと頭を掻いた。
「はぁ……うるせぇ。…うるせぇな。白石、覚えとけ。ここでは俺がルールだ」
「はぁ!? うわ、この人最低なんですけど!!」
新生徒会長と副会長が決定したことによって、現生徒会は解散となった。
本来なら新旧の引き継ぎなんかも行うのだが、今回は…ね。
引き継ぎも何もない。
結局、放棄した生徒会メンバーは一切活動を行うことなく終了を迎えた。
みんなは…何のために生徒会に入ったのだろう。
あの8人がいつか、この1年のことを思い出して後悔する日が来ることを祈るばかりだ。
梁瀬先輩は何だかんだ言いながらも、長谷田先生の根も葉もない嘘は流さずにいた。
そして、最終的に先生のことは諦めたみたい。
何か…馬鹿馬鹿しいよ。
梁瀬先輩。
一時の感情で、大切な何かを見失うなんて。
「2人に残り6人を決めてもらって、来年度の生徒会メンバーとするからな。立候補者優先だけど、お前らからの指名とかあれば。また考えとってくれ」
「分かりました」
新生徒会が発足するまで、あと少し。
長くて短いような辛かったこの1年が…もうすぐ終わる。