嘘はやがて、花を咲かせる。
部活
「紗奈、昨日部活来なかったね」
「ごめん、生徒会のこと終わったら行こうと思っていたんだけどね…行く気力が無かった」
「まぁ…そういう日もあるよね」
友達の白石香織。同じクラスで、部活も同じ情報研究部に所属している。
「そういえば。秋の県予選、うちらはプログラミング部門で出て欲しいだって」
「マジか。勉強しないと…」
県内商業高校生が対象の競技大会。
簿記、ワープロ、ビジネス計算など…それぞれ部門があり、私たち情報研究部は『情報処理部門』の『表計算』と『プログラミング』に参加している。
この大会でランキング上位に入れば、地方大会に進める。
「香織、プログラミングより表計算が得意じゃない?」
「そうそう。だけど、うちよりも出来る1年生が入ってきたからさぁ。お役御免らしいよ」
「何それ辛すぎ」
とか言う私も、別にプログラミングが得意な訳では無いけど。
プログラミングよりは…表計算が良いな。
「紗奈は生徒会と同時進行で出来るの? 生徒会も忙しそうじゃん」
「いやまぁ、どうにかなるんじゃないかな? それはそれ、これはこれ」
部活で勉強出来なくても、家に帰ってからの時間は取れるし。
大丈夫でしょ。
多分。
「今日も部活の前に生徒会?」
「うん。生徒総会用にやることいっぱい」
「本当に今も、先輩たちは何もしないの?」
「うん」
本当…何で何もしないんだろうね。
「タメもいるじゃん。その人たちは?」
「あと2人いるけど、先輩が甘やかすからダメだね。同じように何もしないよ」
「何それ、意味分からん」
そもそも、生徒会担当の先生が悪いよね。
長谷田先生が先輩たちに甘いから。
だからこうなる。
「誰も何も言わないの?」
「言わない。おかしいよね、生徒会として機能していないもん」
「紗奈も放棄しちゃえばいいのに」
「………出来ると思う?」
「…紗奈には出来ないね」
2人して大きな溜息をつく。
生徒会に入ったこと。
後悔しかない。