【短編版】子猫令嬢は婚約破棄されて、獅子となる
第3話
卒業式の最中に行なわれた婚約破棄──。
ざわめく講堂内で、国王の声が響き渡った。
「エヴァン、お前っ! なぜ王族席へと来た。お前の席はあちらだろう!」
突然、在校生の席から王族席に姿を現したエヴァンに国王は驚きながら叱った。
「いやあ、父上。それに母上、兄上。お話があったので、参りました」
「話だと?」
エヴァンの言葉に王妃とミカエラも怪訝そうな顔をしている。
一気に注目はエヴァンへと向いた。
そうして、彼は『一級公爵書』を胸元から取り出すと、それを国王の方へ向けた。
「なっ!」
国王だけでなく王妃もミカエラも目を見開いた。
「これが何か、おわかりですね?」
「『一級公爵書』……だと!?」
エヴァンの後ろには四人の公爵が控えていた。
そのうちの一人であるグラス公爵が一歩前に出て国王に進言する。
「恐れながら、陛下。私とあなたはもう三十年以上の付き合いでございます。だからこそ、あなたが真っすぐ国の政治に向き合っていたあの時に戻ってほしかった。けれど、もう、こんな『鴉』の言葉を聞き届けてくださらなかった……残念です」
「グラス公爵……」
グラス公爵は胸元のブローチに手をやった。
それは若かった頃の二人の絆の証として、国王からグラス公爵に贈られたものだった。
ざわめく講堂内で、国王の声が響き渡った。
「エヴァン、お前っ! なぜ王族席へと来た。お前の席はあちらだろう!」
突然、在校生の席から王族席に姿を現したエヴァンに国王は驚きながら叱った。
「いやあ、父上。それに母上、兄上。お話があったので、参りました」
「話だと?」
エヴァンの言葉に王妃とミカエラも怪訝そうな顔をしている。
一気に注目はエヴァンへと向いた。
そうして、彼は『一級公爵書』を胸元から取り出すと、それを国王の方へ向けた。
「なっ!」
国王だけでなく王妃もミカエラも目を見開いた。
「これが何か、おわかりですね?」
「『一級公爵書』……だと!?」
エヴァンの後ろには四人の公爵が控えていた。
そのうちの一人であるグラス公爵が一歩前に出て国王に進言する。
「恐れながら、陛下。私とあなたはもう三十年以上の付き合いでございます。だからこそ、あなたが真っすぐ国の政治に向き合っていたあの時に戻ってほしかった。けれど、もう、こんな『鴉』の言葉を聞き届けてくださらなかった……残念です」
「グラス公爵……」
グラス公爵は胸元のブローチに手をやった。
それは若かった頃の二人の絆の証として、国王からグラス公爵に贈られたものだった。