この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



「次に、このビー玉の説明をするわね。
 これは、手に乗せた後、
 こういうふうに使いたい、
 そう思い描くと、
 その形になって必ず役に立つと思うわ。
 役目を終えたら蝶々と同じで元に戻るの」


 ガラスでできたようなビー玉。

 それは、そういう役目をしてくれるのか。










 そうなんだ。


 せっかく。
 導いてくれる、蝶々が。
 彩珠(あじゅ)の部屋に。

 そうしてくれても。
 救い出す、彩珠のことを。
 その手段がない。





 彩珠の部屋が一階。

 それなら。
 声をかける、窓越しから。
 できるかもしれない、そうすることが。


 だけど。

 彩珠の部屋が二階。

 そうだとすれば。
 声をかける、窓越しから。
 それは無理に等しい。



 だから。
 想定しなければならない。
 そのときのことを。







 このビー玉が思い描くことに反応し。
 なってくれる、そうなってほしい形に。

 それなら。
 なんとかなると思う。
 彩珠の部屋が二階でも。


 思い描く、俺は。
 このビー玉に。
『階段になってほしい』と。

 そうしたら。
 できる、彩珠は。
 二階から下りてくることが。


< 128 / 198 >

この作品をシェア

pagetop