この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
無言のままでいる、私たち五人が。
そうすると。
見た、お父さんは。
怪訝そうに私たち五人の方を。
そのあと。
お父さんの視線は。
集中する、私に。
その目つきは。
いえない、何とも。
そういうもので。
「彩珠、
お前は、いつからそんな不良になったんだ」
相変わらず。
ずたずたにする、心を。
そんな視線。
お父さんの見下したような。
見ている、何年も。
だけど。
ない、決して。
慣れる。
そういうことは。
「自分の娘になんてこと言うんだよっ‼」
お父さんの言葉に。
凪紗が。
あらわにしてくれた、怒りを。
「娘を連れて行かないのなら、
このことを水に流そう。
だが、そのまま娘を連れて行くというのなら、
君たち四人を不法侵入と誘拐で警察に通報する」
お父さんは凪紗の言葉を無視して。
言い出した、そんなことを。
「きたねぇぞっ‼
そんな脅しに乗ってたまるか‼」
お父さんの言葉に。
凪紗の怒りは。
達している、最上級に。
見えた、そのように。
とはいっても。
凪紗の最上級の怒り。
どのくらいなのか、それが。
わからないけれど。
「そうですよっ。
そんなの卑怯だと思いますっ」
次に発言したのは。
大人しい響基。
響基の勇気。
伝わってくる、ものすごく。
「私たちは
彩珠ちゃんのことを迎えに来ただけなんです」
心詞も。
言ってくれている、必死に。
「迎えに?
こんな時間にコソコソと?
それならば常識内の時間に玄関からでいいのではないか。
君たちがしていることは、
傍から見れば不法侵入者にしか見えない」
心詞の言葉に。
そう言い返す、お父さんは。
「確かにそうだったかもしれません。
そのことに関しては反省しています。
だけど、
どうしても彩珠さんに会いたい、
彩珠さんを救いたい、
その気持ちは確かなものだから」
『会いたい』
『救いたい』
伝わる。
空澄の思い。
「救いたい……だと?
そんな言い方をされると、
この家の環境が悪いみたいじゃないか」
空澄の言葉に。
お父さんの表情は一気に不機嫌になる。
「そう……なんじゃないんですか。
少なくとも彩珠さんにとっては、
とても居心地が悪いものだと思います」
言ってくれた。
空澄が。
私の代わりに。
この家は。
悪い、居心地が。
そのことを。