この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



彩珠(あじゅ)
 無理なんかする必要はないんだぞ。
 通報なんて脅しなんか気にしないで
 私らと一緒に行けばいい」


 ありがとう、凪紗。


 だけど。
 あわせたくない、そんな目に。
 凪紗たちを。


「彩珠ちゃんのお父さんが言っていることなんて気にしなくても大丈夫だよ。
 私たちは、いつだって彩珠ちゃんの味方だから」


 ありがとう、心詞(みこと)

 心詞の言葉。
 嬉しい、ものすごく。


「彩珠さん、
 僕たちと一緒に行きましょう」


 ありがとう、響基。

 響基のその気持ち。
 十分、それだけで。


「彩珠……」


 空澄(あすみ)……。

 大丈夫、私は。


「ありがとう、みんな。
 みんながいてくれるおかげで
 私は元気になれる、力が湧いてくる。
 だから大丈夫」


 たぶん私は。
 ううん、確実に。
 逃げていた、お父さんから。





 だけど。
 逃げない、もう。

 違う、今までの私とは。



 空澄、凪紗、心詞、響基。

 みんなの存在が。
 私に力を与えてくれる。


 みんなは、かけがえのない大切な仲間。







 家に戻って。
 どうなるのか。

 わからない、それは。


 だけど。
 いつかは通らなければならない。

 お父さんと向き合い。
 する、話を。
 そういうことを。





 そのことが済んだら。
 会いに行く、必ず。
 みんなに。



 そう強い思いを抱き。
 見る、目を。
 空澄、凪紗、心詞、響基の。


 私の思い。

 それが空澄たちに伝わり。

 私たち五人は。
 小さく、そして強く頷いた。


< 145 / 198 >

この作品をシェア

pagetop