この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



 * * *


「それじゃあ、
 私はここまでしか送ることができないから」


『心が呼吸できる世界』と現実の世界。
 二つの世界を繋ぐ出入り口の前。


空澄(あすみ)くん、響基くん、
 心詞(みこと)ちゃん、凪紗ちゃん、彩珠(あじゅ)ちゃん、
 卒業おめでとう」


 惺月(しずく)さんのお祝いの言葉。

 私たち五人は。
 お辞儀をする、惺月さんに。
「ありがとうございます」
 そう言って。


「私、思うの。
 あなたたち五人は運命で繋がっていると」


『運命で繋がっている』


 惺月さんの言葉を聞いて。
 思った、すぐに。

 その言葉。
 すごく良い、と。


「同じ部屋のあなたたち五人が一緒に卒業できる。
 そのことは稀なことなの」


『稀なこと』


 続いて惺月さんの言葉を聞いて。
『そうなのか』
 そう思った。


「同じ部屋にいても、
 必ずしも一緒に卒業できるとは限らないから」


 確かに。



 どんなことでも。
 ある、個人差が。


 それと同じで。

 心の状態が。
 向かう、改善の方へ。

 それも。
 ある、個人差が。


「だから思うの。
 あなたたち五人は運命で繋がっている。
 そう思うと、とっても素敵だなって」


 私も。
 同じ思いです、惺月さんと。

『素敵だな』
 そう思います。


「『運命で繋がっている』、
 良いですね、その言葉」


 思っている、空澄も。
 私と同じようなことを。

 そのことが。
 嬉しい、ものすごく。


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