狂愛〜虎を照らす月〜
組員の前で、深月を改めて紹介した時も、厳つい男たちがそれは嬉しそうに笑っていた。

親父が、命に変えても守れと言った時には、全員が声を揃えて返事をした。

俺たちの母親は、陸を産んですぐに病気で亡くなった。

陸はもちろんのこと、正直俺もあまり覚えていない。

だから写真と、親父や組員からの話で知る事が多い。

親父は、生涯を終えるまで亡くなった妻を愛すると言って、再婚は考えていないようだ。

俺たちも、その辺はべつに何も言わない。
むしろ、俺だってそうすると思う。
深月以外を愛する事なんて出来ない。

どうか、深月には長生きしてほしい。
そう、思った。


そして、深月は仕事も辞めて、繁とうちに入った。


言っていたヨガは、今までは夜に行っていたようだが、今は俺が昼間出ている間に繁と行く事にしたようだ。


それから、深月は道場で引き続き頑張っているらしい。
俺はまだ、見た事がない。
というか、組員にも見られたくないらしく、繁がうまく調整して、貸し切った状態で練習しているらしい。

繁が基本、相手をしているとか。
昔から。
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