狂愛〜虎を照らす月〜
組員は、深月がうちに住むようになってから、何かと張り切るようになって、女が1人増えただけで、こんなに変わるものなのかと笑ってしまう。


深月は、奔放な性格をしているが、意外と人見知りでもあるみたいで、まだ少し気を使っているみたいだ。


陸と朔にさえ、今だに敬語だ。


そして今日。
急に俺も陸も早く帰れる事になった。

「3時くらいだよな?深月ちゃん練習してんの」
陸が帰りの車で興奮してる。

「ああ。らしいぞ!間に合いそうだ!」
朔も、運転しながらワクワクしているようだ。


そう。俺たちはコッソリ帰って、深月の練習に勝手に混ざる事にしたのだ。


できる時にしておきたいしな。
だいたい早く帰れる時は、もともとそうだったし。


そして、3人道着に着替える。

道場に向かえば、外まで声が聞こえてきていた。

ヤベェな。

「は?」
先を歩く陸が振り向く。


「この声、だれの声?」
朔も振り向いて俺を見た。


「たぶん。深月だろうな。うちには女は1人しかいない」

そして、足元の窓から3人で中を覗く。
何やってんだかよ。
んとに。
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