狂愛〜虎を照らす月〜
そんな日がしばらく続く。

夜もそのまま、眠ることが多くなってきていた。

ただ抱きしめて寝るだけ。
キスも軽いものばかり。

まさかね。
疲れてるだけだよね。

だって、岳の瞳は変わらず優しいし、瞳の奥はなんだか何かを耐えているような妖艶さを放っていた。

でも岳は、お風呂も部屋のシャワーで済ますようになった。


私には、遅くなるから先に入って寝ていろと。


相変わらず、組の中はまだザワついている。


こないだは、誰かの血痕が廊下に落ちているのを見かけた。


実家でもよく見ていたから驚かないけど、やっぱり心配になる。


連日、朝から晩までほとんど外出していて、本当に寝るためだけに帰ってくる岳。


それでも、私を見れば安心した表情を見せ、抱きしめて寝る。
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