狂愛〜虎を照らす月〜
そして、やり出すと、意外にも楽しかった。

夢中になって草むしりをする。

携帯からワイヤレスイヤホンに音楽をかけてルンルンで草むしりをしていれば、いつの間にか裏口の門の方まで来てしまっていた。


すると、組員がゾロゾロと裏口に集まってきた。

そして、裏門が開いたと思えば、今日は帰らないと言っていたはずの岳が姿を現した。


え、、、


岳は、これまで見たことも無いような、冷たく凍りつくような目をしていて、初めてみる顔をしていた。

誰も寄せ付けないような。

あれが、若頭の時の顔、、

後ろに続く、陸さんも朔さんもいつものフランクさはどこにもなく、目が血走っている。


そして、岳に声をかけようとし、立ち上がった瞬間、後ろから口を押さえられた。


「お嬢。今はダメです」

繁だ。
慌てて走って来たのだろう。
息が切れている。
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