狂愛〜虎を照らす月〜
なんでよ!
おかえりなさいくらい、言わせてよ!
私を後ろから取り押さえる繁を睨む。
「お嬢。頼みます。お嬢のためです」
どういう事よ!
意味わかんない!
繁を睨んでる間に、岳達は裏口から家の中に消えて行った。
岳!!
何があったの!?
あんな顔して、、、。
繁は、暴れる私をグイグイ裏口から離そうと動き出す。
私は繁の脇腹に向けて肘打ちを思いっきり入れた。
「ウグッ」
ほんの僅かに緩んだ腕を思いっきりはらって、私は裏口へ走った。
「お嬢!!」
どこ!?どこに行った!?
どっち!?
ここどこよ!!
私は、とにかく廊下を走った。
岳。
何かおかしかった。
若頭としての顔だけではない。
私にはわかる。
私に嘘までついて。
わざわざ裏口から入ってくるなんて。