狂愛〜虎を照らす月〜
1〜深月side〜
「お嬢、朝です。起きてください」
廊下から、繁(しげる)が声をかける。
「んー」
「お嬢。時間ですよ。遅刻します。このままだと朝飯抜きですよ」
もっとさぁ、爽やかに声かけれないわけ?
ったく
「わかってる。おきた」
「二度寝はダメですよ」
しつこいな。
「起きたっつーの」
繁は私の付き人だ。
うちは代々続く東の街を取り仕切る龍虎会の傘下で、濱田組組長が私の父。
熊みたいにデカい。
顔は、鬼みたいな顔。
ママはもともと夜の街のNo.1ホステスで、化け物みたいに若く見えるし、かなりの美人だ。
なんで熊みたいなパパと結婚したのかは、いまだに謎だけど、今でもめちゃくちゃラブラブだ。