狂愛〜虎を照らす月〜
朔が、ものすごいスピードでエスカレードを走らせる。


それに続いて、あちこちから援護に加勢するため、どんどん組員の黒塗りも集まってきた。


そこに一台見慣れない車。


タンドラだ。


深月の兄貴達も聞きつけてきたんだ。


すんげぇ顔して運転してやがんな。
ブチ切れてやがる。


俺たちにも、体当たりしてくる勢いだぞこれは。


カーチェイスのように、先頭を縫うように走る朔の後ろに、深月の兄貴達の乗るタンドラもピタッと後ろについた。


早く!!
どうか無事でいてくれ!!

なんとか、耐えてくれ!!


そして、倉庫に着く。


「このまま突っ込め」


「承知」


車ごと朔が倉庫に突っ込み、シャッターをぶち壊す。


そして後ろからきたタンドラも並んで加勢する。


開いた入り口から次々にほかの組員も車ごと入ってくる。


アドレナリンが出まくっていて、衝撃の痛みなんて何も感じない。


深月だ。

俺はすぐに車から飛び降りた。


「深月!!」

深月は、俺を見た途端にフッと気を失った。
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