狂愛〜虎を照らす月〜
怒鳴り声が聞こえる。
ヤバい。急がないと捕まる!!
弱いけど、多いのはキツい。
一気に押さえられたらおしまいだ。
とにかく、今いる2人は何とかなりそう。
きっと、もうすぐ岳が来てくれる。
きっと。
それまでは、なんとか紗理奈を守る。
そして自分も。
岳以外に触れさせてたまるか。
私は岳のだ。
私は、得意の回し蹴りをくらわし、股間を蹴り上げる。
「グァ!」
あと1人。
その間に、20人くらいが囲うように、私の出方を見ている。
睨み合ってれば、凄い勢いでシャッターを突き破って車が入ってきた。
黒塗りのエスカレード。
そして、続く兄達のタンドラ。
次々とベンツもやってくる。
来た。
みんな来てくれた。
助かったんだ。
岳が車から凄い形相で飛び降り、私を呼ぶ。
岳、、、
一気に気が抜けて私の記憶はそこで切れた。