狂愛〜虎を照らす月〜
彼女が気を失ってソファーで眠る。
服を簡単にもとに戻して、俺の着ていたジャケットをかけた。



俺は、側近の朔(さく)に連絡する。

「おい。あれもってこい」


「承知」


朔は、俺の言った通り一粒の薬と水を持ってVIPに入ってきた。

「兄貴。どうぞ」


「ああ。下がっていい」


「承知」


そして朔が、頭を下げて出て行った。


緊急用のアフターピルだ。


彼女の口にピルをいれて、俺は水を口に含み、口移しで飲ませた。


彼女がゴクッと喉をならすのを確認する。


飲んだな。



そして、改めて眠る彼女を見る。


綺麗だ。
本当に。
完全に、一目惚れしてしまった。


はぁ。


俺はタバコに火をつけた。
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