狂愛〜虎を照らす月〜
外に出れば、ちょうど西の榊達も着いたところだった。


「進藤。あとは、俺たちが引き継ぐ。
今回は本当に申し訳なかった。」


「ああ。今まだ中で暴れてる。潰せ」


「ああ。ただじゃおかねぇ。もう二度と東には迷惑かけねぇから」


「俺は帰る。あとは任せた」

本当はこの手で、八つ裂きにしてやりたい。
それでも、今この手から深月を離すことはできない。

なんとか、自分を抑える。


「進藤、お前、、、」


そう言って、何か言いたそうな榊を残して、待機している車に乗り込み、家に向かった。


深月は、極度の緊張と興奮から覚めて、安心したのかすっかり俺の腕の中で眠っている。


俺は深月の頭をゆっくりと撫でた。


自分を落ち着かせるように。


深月が頑張って抵抗してくれたおかげで、最悪の事態は免れた。


それでも、怖がらせたし、拳に傷もついた。
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