狂愛〜虎を照らす月〜
「ん、、、、岳」


俺は顔をガバっと上げて深月を見る。


「深月」


そして、タバコの火を消した。


「岳のタバコの匂いした」

深月はそう言って、ニコっと微笑んだ。


「悪い。煙かったよな」



「ふふふ。大丈夫。雅也も拓磨ももっと容赦なかったよ」



「フッ。そうか」



「岳。大丈夫?」


「ん?」


「ふふふ。岳。我慢してるね」

何でもお見通しらしい。


「ああ。戻って暴れてしまいたい」

俺は呆れたように言った。

そして深月の手を取り、血が滲む拳を撫でる。

クソッ。
深月の綺麗な手に傷がついた。

「岳。震えてる、、、」


「こんなになるまで、、。
他に怪我はないか?」


「それなら、、岳が、、確認してよ」
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