狂愛〜虎を照らす月〜
今日、初めて暴れてみてわかった。
自分の中にある、狂気に触れた気がした。

血は争えないらしい。

体が、興奮を覚え、自分の状況も忘れて暴れる兄達に混ざりたいと思った。


岳の口から放たれる、低く落ち着いた声。

その声で、一言止められれば、不思議と言う事を聞いてしまう。



乱闘を見て、混ざりたいなんて言うような女、きっと普通なら、とっくに愛想尽かして捨てられてしまうだろうな。

自分でも思う。
イカれてるって。





そして岳はいつも、情炎に燃える瞳を光らせ、私に喰らい付いてくる。

餌を貪る野獣のように。

そんな岳に、私は私で、いっその事食べられてしまいたいと思ってしまう。


やっぱり、イカれてるのかもしれない。
< 295 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop