狂愛〜虎を照らす月〜
「ここは、、、?」


「風呂場」


「それはわかるってば!!」

おお。元気に話せるじゃねぇか。


「抱きまくったから、シャワー浴びたいと思って」


「んな!?」

また顔を赤くした。


「なんだ?」



「あ、ありがとう?ございました?」


何で疑問系?


「覚えてないのか?」


深月はまた目を開いて、その後顔を赤く染めた。

覚えてんな。


「あの、、そ、その。
あ、ありがとう。いろいろ。
できれば、忘れて、、欲しいんだけど」

彼女は、またお礼を言う。
あんなにもう無理と言ってるのに、やめずに抱き潰した俺に。

そして忘れろと。


「無理だ」


あんなに抱いたんだぞ。

その、可愛らしい唇から淫らな声をだし、その、黒目がちの大きな瞳は実に妖艶で、俺を見つめ誘惑する。

そして何度も絶頂を迎えては、もっと、もっととよがり、俺を離すまいと絞りとるように絡みついて離さなかった。

それでも、途中からはもう無理と言いだしたが、俺が無理だった。
止められなかった。

我を忘れて貪るように、本能のままに、抱き合った。

俺すらも、狂ってしまいそうだった。

いや、狂ってしまっていた。



忘れられるわけがない。
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