狂愛〜虎を照らす月〜
「上がるぞ」

俺はそう言って、ザバっと立ち上がった。

深月は、そんな俺を見て目を大きく開けたかと思えば、またクラッと瞳を揺らし、ぶっ倒れた。

「おい!」


ったく。
人の裸みて、気絶する事ないだろ。


俺は急いで深月を抱き抱えた。

あっつ。

のぼせたか。


ひとまず、タオルで身体を拭いて、用意してあった浴衣を着せ、ベンチに横にならせた。

脱衣所内の冷蔵庫から、冷えた水を持ってきて口移しで飲ませる。

扇風機もあてて。


チッ
俺は一体、何させられてんだ?


俺も着替える。


ドライヤーを手に取り、深月の髪を乾かす。

女の髪なんて、乾かした事もねぇ。

深月の髪は最初、パーマかと思ったけど、綺麗なストレートだった。

外側と内側で二色に別れてる。
職種は美容師か?アパレル関係?

そして俺の上で髪を振り乱す姿を思い出して、反応しそうになる。


思い出しただけで、これか。


重症だな。
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