狂愛〜虎を照らす月〜
玄関に着けば見覚えのあるどでかい掛け軸があった。
"龍虎会"
まちがいない!!同業だ!!
うちのと同じだ!!
しかも、龍虎会は薬は御法度。
私は昨日、事故とはいえ何か飲まされた。
私が濱田組の娘だとバレたらとんでもない事になる!!
ヤバいヤバすぎる!
早く逃げないと。
焦る気持ちをなんとか抑える。
「ありがとうございました。」
「送らなくて大丈夫ですか?」
送ってもらったらバレるでしょーが!!
「大丈夫です。すぐに迎えが来ますので」
適当に嘘をつく。
「左様ですか。それでは、お気をつけて」
「はい。お邪魔しました。本当に、ご迷惑をお掛けしまして、申し訳ございません。それでは、皆様にもよろしくお伝えください。」
そう言って、逃げるように玄関を出て、だだっ広い庭を通って門を出た。
そして、振り向いて表札を見る。