狂愛〜虎を照らす月〜


玄関に着けば見覚えのあるどでかい掛け軸があった。

"龍虎会"

まちがいない!!同業だ!!
うちのと同じだ!!

しかも、龍虎会は薬は御法度。

私は昨日、事故とはいえ何か飲まされた。

私が濱田組の娘だとバレたらとんでもない事になる!!

ヤバいヤバすぎる!

早く逃げないと。


焦る気持ちをなんとか抑える。


「ありがとうございました。」

「送らなくて大丈夫ですか?」


送ってもらったらバレるでしょーが!!


「大丈夫です。すぐに迎えが来ますので」

適当に嘘をつく。


「左様ですか。それでは、お気をつけて」


「はい。お邪魔しました。本当に、ご迷惑をお掛けしまして、申し訳ございません。それでは、皆様にもよろしくお伝えください。」


そう言って、逃げるように玄関を出て、だだっ広い庭を通って門を出た。


そして、振り向いて表札を見る。
< 39 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop