狂愛〜虎を照らす月〜
向かった先は、やはりエスカレード。

まさか、私の迎えの車だったとは。

「はい。どうぞ」

そう言って、岳さんの弟さんであろう彼が、後部座席を開けた。

そこには、運転席に、側近の朔さん。


そして、後部座席の奥には、優雅に長い足を組んだ岳さんが乗っていた。


「おい。早く乗れ」

岳さんから声をかけられる。


「失礼します」

私は覚悟を決めて乗り込んだ。

今日は、黒のタートルで袖がシースルーの大きなパフスリーブのデザインをしたトップスに、黒のひざ下丈のタイトスカート。


今日こそパンツだったよ。
こんな車高の高い車乗るなら。
繁め。


心の中で、繁に毒つく。


「なんだ?ご機嫌ななめか?」
なんて言って岳さんは笑ってるし。


「別に」
私も開き直って、若頭だというのも忘れて普通に話してしまった。
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