狂愛〜虎を照らす月〜
「クックックックッ」

岳さんだ。

私はガバっと顔をあげた。

なんで、笑うのよ。
処分があるから来たんでしょ?


そして、前に座る2人も一緒に笑い出した。


なに!?

人が真剣に謝ってんのに!!


すると、岳さんが口を開いた。



「さすが、濱田んとこの娘だな。」


「は?」


「ははは!おもしれー。」


「ちょ!!」
何よ!!
とキレそうになるのをなんとか飲み込む。

相手は進藤組若頭だ。
忘れるな深月。


「おい。普通にしろ。敬語もいらない。俺のことは岳と呼べ。あんなに抱き合った仲だろ?」
岳さんがニタニタと怪しく笑う。


「あ、あれは忘れてって言ったじゃん!!」
さっそく、素が全力で出てきてしまった。

やべ。
お淑やかに。お淑やかに。


「クックックックッ。俺は無理だと言ったぞ?まず飯行くぞ。あと、そのヅラ外せ深月」

そう言って、岳さんはニタッと笑った。


ウワッ。こんな顔も出来んの?
お風呂の時は、優しい顔してたし。
< 67 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop