狂愛〜虎を照らす月〜
大将の半袖の割烹からは、もれなく柄付きの腕が出ている。


年期入ってんな。


カウンター席に座って、大将のマシンガントークを聞かされる。


相変わらずよく喋る。


「なんだ!深月ちゃんは、濱田んとこの娘だったのか!だと、ガキの頃よく、遊びに来てただろ?」

「いやぁー、私覚えてないんですよ」

俺もだ。


「なんだ、岳もか?」


「ああ。全くな」


「ははは!まぁ、まだ小せぇガキだったもんな!今はこんなにおっきくなっちまってよ。俺も歳とったもんだよ。ほれ。できた。食え」


「うわー!美味しそう!!いただます!」

深月は、それは綺麗な所作で寿司を食べ始めた。

俺も、陸も続く。
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