狂愛〜虎を照らす月〜
「拓磨。今日私、仕事終わったら、そのまま紗理奈んち泊まるから」

隣に並ぶ拓磨に話しかける。

「ああ。失礼のないようにな」

紗理奈は、同じ龍虎会の傘下で月島組の娘。
同じ世界の、私の唯一の親友だ。


こんな風に、気楽に泊まりに行けるのも、紗理奈の家が同業者だからだ。

一般のご家庭には、なかなかお邪魔できない。

そんな事言ったって、私も紗理奈も遊びたいわけで、しょっちゅう泊まりに行ったり来たりして遊んでいる。


「はいはい」


「最近は落ち着いてるから、大丈夫だ。ゆっくり遊んでこい」
雅也も聞こえてたらしく、話しかけてきた。

拓磨より長男の雅也のほうが、口うるさくない。

末っ子には甘いんだと思う。

「そうは言ってもよ」
ほら、拓磨がいらぬ心配をする。

「拓磨。深月ももう大人だ。」
雅也、もっと言ってくれー。

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