狂愛〜虎を照らす月〜
そして、車の中で思った、別の部屋に案内されるなんて事はなく、当たり前に再び岳の部屋に連れて行かれた。


だ、だよねー。

やっぱり、ここですよねー。

もう笑うしかない。


「お前ら、もう下がっていいぞ」


「承知」


そう言って、朔さんも陸さんもスタスタと行ってしまった。


部屋に2人きりだ。


うう


ドキドキしちゃう。



「深月」


「なぁに?」


「こっちにこい」


いつまでも部屋の扉の前に立って動かない私に、岳はソファーに座って自分の隣をトントンと叩く。


どれ。
座るか。
いつまでも、グジグジしてるのは好きじゃない。


そして岳の隣りから少し離れた所に座った。


「何でそんなとこに座ってるんだ?」
岳がニタニタしてくる。

またこの顔。
イタズラっ子みたいな顔。

岳の余裕が悔しい。

私ばっかり。

こんな時に、負けず嫌いの私が顔を出してきた。
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