狂愛〜虎を照らす月〜
「だめだった?」
私は挑発するように、クスッと笑った。
すると、予想外だったのか岳が瞳を広げた。
ふふふ!
驚いてる驚いてる。
楽しい。
岳の動揺する姿なんて、誰が見れるだろう。
岳は、一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにまたニヤっとした顔に戻した。
「ああ。ダメだ。もっと離れろ」
んな!?
そうきたか!?
私の口はもう、あんぐりだ。
そんな私を見て岳は笑いだす。
悔しい!!
「深月。ほら。意地はんな。こっちにこい。」
そう言って、手を引かれてそのまま何故か岳の上に向き合うように乗せられてしまった。
「ねえ。」
「なんだ?」
「これはこれで、近くない?」
「もう。いいだろ。深月。きづかねぇか?」