桜姫は花と共に散る
変に刺激しない方がいいと思いうんうんと相槌を打ったあとにちょっと飲み物買ってくるね、とそそくさと教室を出てきた。



教室の方からはえぇーーーっ!とか、宮野くーんっ、と言った嘆きのような残念そうな声が聞こえたが、気付かないふりをする。



昇降口辺りまで小走りで来て、走った疲れからか壁に背中を預けズルズルと座り込んでしまう。



はぁ…この辺なら大丈夫だろう。



疲れた…正直予想外だった。



中学校では、囲まれるってなっても5、6人ぐらいだったのが今日は10人いたんじゃないかというぐらいの多さだった。



まるでプライベートを目撃された俳優やアイドルのような気分だった。



こんなんで高校生活ほんとに何事もなく平穏に過ごせるのか?



またなんか僕のせいで女子達が喧嘩したり火花が散って空気が重くなったりしないだろうか…。



息が詰まるから正直そういうのはやめて欲しいと思う。



僕は飾りじゃないんだ。誰のものでもないんだ。



なのにどうして僕の取り合いみたいなことばっかりするんだろう…。



『ねぇ君、どうしたの?』



え…、



急に頭上から声がして視線を向けると女の子が僕の顔を心配そうに覗き込んでいた。



「っ!?」



びっくりして思わず固まっていると隣にちょこんと座ってきた。
< 9 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop