パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 そんな弥生を抱き上げてそっと恭弥さんが下ろすと、トコトコと歩き出した。

 まだ小さいが意外に早い弥生。それを恭弥さんが追いかける。
 その後ろ姿を見て、しばらく立ち止まってしまっていた私だったが、ベビーカーを押しながらふたりの後を付いていく。

「はいってみよう」
 大きなイルカの絵が描いた建物に、弥生が行こうとするのを見て、恭弥さんが振り返って私を促す。

「かわいい親子ね」
 私が見とれてしまいそうな笑顔に、周りの人たちも見ていたようでそんな声が聞こえて我に返る。
 褒められた言葉が、親子という言葉にうれしくなってしまう。

「ママもかわいい」
 続いて聞こえていた内容が、自分もその中に含まれている。それがくすぐったくて、家族に見られたことが純粋に嬉しい。

「咲良?」

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