パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 不思議そうに私を呼ぶ彼に、慌てて速足で追いついた。
 弥生が興味深そうに足を止める水槽を、私たちも見つめる。

「咲良は何が見たいんだ?」
「私はいいです。弥生の行きたいところで」
 ずっと弥生が産まれてから、自分のことなど関係なく生きてきた。それが当たり前で不満に思ったことなどない。

「今日は俺がいるんだ。弥生のことは見ていられる。だから咲良も自分の時間を大切にして欲しい」

「恭弥さん……」
 まさかそんなことを思ってくれているとは想像もしていなくて、私は彼の名前を呟いていた。

「じゃあ、くらげを見に行ってもいいですか?」
 案の定、大きな動きをしないくらげの水槽を、弥生は興味なさそうに通り過ぎて、違う場所に行こうとしている。

「ゆっくりみておいで」
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