パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
結婚披露宴は滞りなく終わり、弥生を恭弥さんに預け、私はドレスを着替えるためにホテルの一室にいた。そんなとき、ノックの音が聞こえて私は恭弥さんかどうか確認せずドアを開けた。
しかし、そこに立っていた人は、想像もしていなかった人で私は息を飲む。
「さやかさん……」
会ったこともないただ私だけが知っている人物の名前を呟く。
「あら、知っていてくれて嬉しいわ」
今までみた誰よりも、華やかで、スリット深いドレスを完璧に着こなした女性。真っ赤なルージュが妖艶な雰囲気を漂わせている女性。
部屋に入ってくださいとも言わずにいた私に構うことなく、私の脇を通り過ぎて部屋へと入っていく。
仕方がなく、私も彼女の後を追う。一人掛けのソファーに腰を掛けて、長い足を組み、不躾な視線を隠そうともせずに、さやかさんは私の全身に視線を向ける。
「どのような要件ですか?」
たまらず問いかけた私に、彼女はあからさまに大きなため息を吐いた。
「どうやって恭弥を騙したの?」
「騙したって、そんな」
ただ、私たちは過去、一夜をともにーー。
いや、私が誘ったのだから騙したと言われたらそうなのかもしれない。