パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 もう二度と会わない。でも優しくしてくれてありがとう。

 初めて見る穏やかな寝顔にそう心の中で呟いた。


 リビングでそれらを身に着けながら、夢のような空間を見渡す。この豪華すぎる部屋が余計に虚しくなる。
 そこでボロボロと涙が零れ落ちていることに気づいた。それを強引に拭うとバッグからスマホを取り出した。

 何件もの元樹からのメッセージ。こんな風に彼の兄と身体を重ね、それを暴露されてしまった。
 何を話していいのかもわからないし、元樹と繋がったままだと私は一生、このことを引きずってしまう気がした。


 元樹もごめんね……。

 今は私のことはそっとしておいてほしい。それだけしか思えなかった。


【また連絡をします】

 それだけを素早く打つと、私はスマホの電源を切った。
 
 しかし、それからしばらく経っても、私は彼に連絡はできなかった。


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