パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない！～内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました～

　こんなセリフは絶対にシンデレラは言わないし、王子様とシンデレラは運命のように惹かれ合っているのだ。

　私たちとは雲泥の差だ。
「シンデレラは幸せに暮らしました」
「んーー？」

　まだ意味は解っていないのだが、パタンと途中で閉じた本に、弥生が抗議の声を上げる。
「弥生、ママ、りんごさん食べたいな」

　気持ちを変えるために、おままごとセットを指さすと、「あーい」と弥生は小さな買い物かごを持ってトコトコと歩いて行った。ニコニコと愛らしい弥生。

　私はやはりこの笑顔を守る義務がある。彼がいることは必要なのだろうか。
　また振り出しに戻った自分に、大きなため息が零れ落ちた。

「どうぞ」