パパになった冷徹御曹司の溺愛は止まらない!~内緒の赤ちゃんごと、独占欲全開で娶られました~
 抱き上げてそう伝えれば、弥生は私ではなく外を見ていた。

「弥生ちゃん、こんにちは」
 柔らかな優しい声が聞こえてきて、恭弥さんが弥生の名前を呼んだことにドキッとする。

「はーい」
 男性にはなかなか懐かない上に、ちょうど人見知りの時期で初めて会う人には泣くことが多い弥生。
 私に抱かれているかもしれないが、恭弥さんににこにこと手を振る。

 そっと恭弥さんが差し出した指を、弥生はギュッと握った。


「かわいいな」

 愛しいものを見るような、優しいまなざしに私はずっと彼に黙っていたことは間違っていたことを悟る。彼は本当に弥生のことを思ってくれていることがその瞳から分かった。
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