泣き虫の凛ちゃんがヤクザになっていた
14話 後編
「浅田を呼び出しておいたから、今から来い。例の知り合いって子も連れてな」
朝一の電話口で、宮永さんからそう告げられた。
昨日、警察署で和住は隠し持ったスマホを通話モードにしたまま、浅田と話していた。俺はそこで奴らの会話を聞いた。
すると、浅田は相棒の刑事を追い払って、警備という名目で幸希と二人きりになろうとした。
俺はその瞬間、浅田が幸希に何かしようと企んでいると確信した。
俺は和住に、浅田をどこかで撒いて、あの場所で落ち合おうと指示した。
――凛からの頼み事なんて珍しいからな。むしろ、もっと言ってほしいもんだね。
俺はあの時の言葉を思い出し、ダメもとで宮永さんを頼った。
ほとぼりが冷めるまでの間、幸希を宮永さんの元で匿ってほしい、と。
その間に、俺は「幸希に手を出すな」と浅田に直接頼むつもりだった。つまり、「幸希の代わりに、石井殺しの実行犯を始末してくれ」ということだ。
金で解決するのならば、いくらだって出すつもりだった。
万が一、浅田が俺の交渉に応じないようならば、あいつを殺すくらいの覚悟はあった。
宮永さんは意外にも、俺の頼みをあっさり了承してくれた。
その上、次の日には「浅田を呼び出しておいたから、今から来い」と、浅田との交渉の場を勝手に用意した。この部分に関しては、正直有難迷惑だ。
浅田とはいずれ直接話すつもりだったが、こちらにも心の準備というものがある。
なんせ、下手すれば俺は浅田を殺すことになるかもしれない。
流石の俺でも、次の日の朝いきなり腹を括れと言われるのは酷なことだ。
宮永さんはそれを分かっていながら、俺の困った顔が見たいがために、浅田との話し合いの場を用意したのだろう。
本当に悪趣味な人だ。
朝一の電話口で、宮永さんからそう告げられた。
昨日、警察署で和住は隠し持ったスマホを通話モードにしたまま、浅田と話していた。俺はそこで奴らの会話を聞いた。
すると、浅田は相棒の刑事を追い払って、警備という名目で幸希と二人きりになろうとした。
俺はその瞬間、浅田が幸希に何かしようと企んでいると確信した。
俺は和住に、浅田をどこかで撒いて、あの場所で落ち合おうと指示した。
――凛からの頼み事なんて珍しいからな。むしろ、もっと言ってほしいもんだね。
俺はあの時の言葉を思い出し、ダメもとで宮永さんを頼った。
ほとぼりが冷めるまでの間、幸希を宮永さんの元で匿ってほしい、と。
その間に、俺は「幸希に手を出すな」と浅田に直接頼むつもりだった。つまり、「幸希の代わりに、石井殺しの実行犯を始末してくれ」ということだ。
金で解決するのならば、いくらだって出すつもりだった。
万が一、浅田が俺の交渉に応じないようならば、あいつを殺すくらいの覚悟はあった。
宮永さんは意外にも、俺の頼みをあっさり了承してくれた。
その上、次の日には「浅田を呼び出しておいたから、今から来い」と、浅田との交渉の場を勝手に用意した。この部分に関しては、正直有難迷惑だ。
浅田とはいずれ直接話すつもりだったが、こちらにも心の準備というものがある。
なんせ、下手すれば俺は浅田を殺すことになるかもしれない。
流石の俺でも、次の日の朝いきなり腹を括れと言われるのは酷なことだ。
宮永さんはそれを分かっていながら、俺の困った顔が見たいがために、浅田との話し合いの場を用意したのだろう。
本当に悪趣味な人だ。