君に、振り向いてほしいから

君との出会い  side凪

「おい、凪!朝だぞ、起きろ」

水潮凪、16歳。僕は双子の兄・波に叩き起こされた。

僕たちは満珠学園の高校一年生。

満珠学園は中高一貫校で、満珠大学もある。

波とはずっと、一緒に暮らしている。

今日は中等部の入学式。高等部の僕らは、休みのはずなんだけど……。

「波、今日は中等部の入学式でしょ?僕たち、早く起きる必要なくない?」

「はぁ?大丈夫か、お前。今日は一緒に飯食いに行こうって約束してただろ?行くぞ」

そういえば、してた気がする。

波を部屋から追い出し、支度をする。

上着を羽織ってリビングへ行くと、波がソファに座って本を読んでいた。

「お、行くか」

扉を開け、学園内のショッピングモールに向かう。

十分ほど歩き、ショッピングモールに着いた。

扉が開いた途端、波が誰かとぶつかった。

途端、彼の顔が険しくなる。

「ごっ、ごめんなさい……!」

「……いや、大丈夫だ」

……あれ?波、顔赤くない?

相手の子は、何度も謝り、僕たちの横を通り過ぎようとした。

「……お前、名前は?見たことない顔だな」

「珠木瑠花です。今日、ここに来ました」

「そうか。入学式頑張れよ」

瑠花ちゃんは微笑み、体育館の方へ走って行った。

波は彼女を見送り、すぐそこにあったカフェへ入って行った。

アイスコーヒーとサンドイッチを頼み、にやにやしながら波を見る。

「波ぃ〜、瑠花ちゃんのこと気に入ってんの?顔真っ赤だよ」
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