君に、振り向いてほしいから
和やかな雰囲気になった室内に、大きな声が聞こえてきた。

「瑠水を渡さないだと!?ふざけるな!」

慌てたようにqueenが立ち上がった。

もみじちゃんが残念そうに彼女を見上げる。

私を渡さない?どういうこと?

璃空にいを見ると、彼も不思議そうに部屋を出ていった。

私も行こうとすると、琥珀さんと翠さんが私の前に立ちはだかった。

「駄目だ、瑠水。もしお前に何かあったら危ない。それに、ももかたちも見ないといけないだろ」

「代わりに、僕らが行くから。何かあったら連絡してね」

優しい笑顔を残して、翠さんたちも部屋から出ていった。

「ねぇ、ななほちゃん。すいくんたちはどこいったの?」

「う〜ん、ちょっと分からないなぁ。部屋の外を見に行ったんじゃないかな?」

「じゃあ、みゆきも行く〜」

「もみじも!」

みゆきちゃんともみじちゃんが立ち上がった。

どうしよう……。

ななほちゃんと顔を見合わせる。

彼女が小さく首を降った。

みゆきちゃんもみじちゃんと手を繋ぐ。

もみじちゃんとみゆきちゃんが残念そうに私を見上げた。

「どうして、ももかたちはいったらだめなの?」

そっと手を離した。

「ももか様、みゆき様、もみじ様。あなた方は次期queen候補でございます。もし、あなた方になにかありましたら大変ですので、行かせないという判断をさせて頂きました」

ななほちゃんが三人の前に手をつき、かしこまった様子で三人を見つめた。

すごい……。さっきまで優しく笑ってたのに、今は真剣に三人を見つめてる。

このスイッチの切り替えが、スパイになる理由だったのかな。
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