君に、振り向いてほしいから
「……いや、違う」

「ほんとにぃ?」

「あ〜、もう、しつこいぞ凪!」

波が顔を真っ赤にして僕を睨んだ。

一目惚れかぁ。波が一目惚れなんて意外だな。

……あ、そうだ。いいこと考えた。

朝ごはん食べ終わったら、波と入学式見に行こうかな。

参加は自由だし。

頼んでいたものが運ばれてき、波はコーヒーに砂糖とミルクをいれ、嬉しそうに口をつけた。

「波、入学式見に行こうよ」

「なんでだよ」

「瑠花ちゃん見れるかもしれないよ」

波は考えるように目を閉じると、サンドイッチをつかんだ。

そのまま僕の口に押し込んでくる。

「凪、とっとと食え。入学式行くぞ」

ふふっ、分かりやすいやつ。

サンドイッチを食べ終え、会計を済まして外に出る。

走り気味な波に追いつき、寮に戻って着替えたあと、体育館へ向かった。

向かっている途中も、女の子たちからの視線を感じる。

「水潮先輩たちだ!かっこい〜」

いつもは女の子たちを睨みつけている波も、今日ばかりは黙って歩いていた。

数分ほどで体育館へつき、後ろの壁にもたれかかる。

早速、前で話していた校長も含め、沢山の人に気づかれたようだった。
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