君に、振り向いてほしいから
どうしよう……。本気を出しちゃったら……。

璃空にいが心配そうな表情を見せた。

やっぱり、璃空にいも考えてることは同じ……。

私、cosmosのアクアだから……。

「お言葉ですが、king。瑠水は体が弱いんです。だから、激しい運動は避けるべきだと……」

「そっか……。じゃあ、やめとこうか。輝夜、当日は瑠水ちゃんの近くにいておいてくれる?」

「分かった」

kingは満足げに微笑み、空橋先輩たちと何かを話ながらどこかへ行ってしまった。

私は、どこに行ったら良いんだろう?

璃空にいは小さく微笑み、私の手をひいてどこかに向かって歩き出した。

てっきりななほちゃんたちがいる部屋に行くのかと思ったけど、璃空にいは階段をのぼってすぐの部屋に入った。

翠さんたちはななほちゃんたちがいる部屋に向かったみたい。

璃空にいは無言で人差し指を口の前に立てた。

どうして喋ったら駄目なんだろう?

彼はそっと部屋のと扉を指差した。

璃空にいを真似て扉に耳をつける。

「で?瑠水ちゃんをどうするんだよ。僕、連れてこいなんて一言も言ってないだろ」

「良いだろ、king。落ち着けよ。あいつは所詮人質。何かするようだったら始末する」

「どうやって?」

「決まってるだろ、輝夜。地下室に閉じ込めるんだ」

そこまで聞いたところで、璃空にいが私を引っ張った。

そのまま二人で階段をおりた直後、空橋先輩がドアから顔を覗かせた。
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