君に、振り向いてほしいから
僕もnightに入ることになり、半年すると幹部になった。

叶多さんは僕の成長を嬉しそうに見守ってくれた。

輝夜も、叶多さんの横で嬉しそうに笑っている。

穏やかな日々は瞬く間に過ぎていった。

そして、ある日、僕たちは叶多さんに呼び出された。

いつもどおり穏やかな笑みを浮かべて、叶多さんはそっとくちを開いた。

「僕、転校することになったんだ。だから、kingも辞める。聖夜くんにkingをしてほしいんだけど」

僕に視線が集まった。

nightの幹部の人たちは僕に良くしてくれてるから、憎しみの目は向けていない。

好奇と憧れが混ざった目で僕を見つめている。

深い優しさに溢れた叶多さんの瞳が、優しく僕を見ている。

この人の目を見ていると、彼に捕われてしまいそうな気がする。

僕はぱっと目をそらし、輝夜を見た。

「お言葉ですが、kingなら兄がぴったりかと。それに、僕はまだ中一です」

「でも、輝夜は副総長の方が向いているよ。年齢なんて関係ない」

「……分かりました」

叶多さんの表情がぱっと明るくなった。

僕なんかでも、良かったのかな……。

特別才能があるわけでもないし、強いわけでもない。

叶多さんは他の人たちに出ていくように指示すると、真剣な表情になった。

「あのね、聖夜くん。引き受けてくれたのはとっても嬉しいんだけど、もうすぐ、Luciferともめることになると思うんだ。もし、本当にそうなったり、困ったりしたら、迷わず僕を呼んでね」
< 28 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop