君に、振り向いてほしいから
彼の部屋に行くと、優日ちゃんが呆然と立ち尽くしていた。

その手には、一通の手紙。

恐らく、叶多さんからだろう。

「優日ちゃん」

「……聖夜、叶多さん、行っちゃいました」

「悲しかったね。でも、これからは僕がking。寂しい思いはさせないよ」

優日ちゃんが大きく目を見開いた。

優日ちゃんには、やってもらわないといけないことが沢山ある。

だから、寂しくはない……はず。

彼女は優しく微笑むと。持っていた手紙をポケットにしまって部屋を出た。

あれ……。

あんまり響いてなかったかな?

僕なりにいいこと言った気がするんだけど。

「何してるんですか、聖夜。これからは、貴方がkingなんでしょう。色々教えてあげます」

笑顔で振り返った優日ちゃんに続き、部屋を出る。

そのまま会議室に入ると、すでに幹部メンバーがいた。

優日ちゃんの隣に座り、今後の方針を決めていく。

「まず、kingとqueenの本名を出すか、出さないかです。初代kingは、本名で呼ばせていましたね。どうするんですか、聖夜」

優日ちゃんは、次のqueenが決まるまでqueenをしてくれるらしい。

今もqueenとして進行してくれている。

「そうだね。僕は、信用できる人だけに本名を教えるようにしたいな」

「だが、聖夜。もし仮にそうなったとして、他の奴らがいるときにはどうすれば良いんだ?」
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