君に、振り向いてほしいから
「それは……。普通にkingって呼んで」

輝夜が小さく頷く。

輝夜の隣には、総長をしてくれてる嵐さんがいる。

「それにしても、いつまで優日はqueenをしているつもりなんだ?」

「それ、は……」

「いつまでqueenの立場に甘えているんだ?」

優日ちゃんが押し黙った。

嵐さん、強く言いすぎじゃないかな?

輝夜が厳しい目で嵐さんを見た。

「嵐。優日ちゃんをあんまりいじめるんじゃないよ」

「だが、輝夜」

「だが、じゃない。次のqueenが決まるまで、って言ってたじゃん。今日、選びに行くんでしょ」

嵐さんが気まずそうに目を伏せた。

そうだ、今日は中等部の入学式。

今日、新しいqueenが決まる。

優日ちゃんは気まずそうに俯いている。

「そろそろ行く、優日ちゃん?」

「そうですね、もうそろそろです」

立ち上がり、中等部の入学式へ向かう。

中に入り、壁にもたれかかる。

僕らの存在に気付いたのか、ちらちらと視線が送られている。

呼名が始まり、一人一人の雰囲気を確認していく。

『奥野朝陽(あさひ)

「はい」

その子がたった瞬間、nightの視線が釘付けになった。

あの子だ……。

あの子を、queenにしなきゃ。

それに、奥野って優日ちゃんの妹?

入学式が終わり、一目散にあの子のもとへ駆け寄った。
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