君に、振り向いてほしいから
「ああ、聖夜くんか。彼はnightの二代目総長だよ」

どうして、それを……?

nightの人にしか本名は教えてないのに、そこまで知られてる?

凪、と呼ばれた人は、いたずらっぽく両目を細めた。

窓からの光で、一瞬、彼の茶色い瞳が赤く輝いた気がした。

「それで、後ろの子が新しいqueenか。でも、女王には程遠いね」

朝陽が気まずそうに目を伏せる。

優日ちゃんはそんな妹を庇うように前に出た。

二人が目を見開いた。

「自分の名を名乗らずに、人の情報をぺらぺらと喋らないでください。Lucifer初代総長、水潮波さんと初代副総長、水潮凪さん」

目の前の二人を睨みつけたまま、優日ちゃんが朝陽を自身の背中に隠した。

それを見た波さんは、意外そうに眉を釣り上げた。

「ほう?お前も人の情報を喋っていると思うが」

優日ちゃんがぐっと押し黙った。

波さんはそんな彼女をちらりと見やり、にやりと微笑んで出ていった。

朝陽が怯えた表情をしている。

僕は朝陽の手をひいて風紀委員会寮へ入った。

輝夜が朝陽の教室に連絡してくれたようだった。

朝陽は不安そうに部屋を見回した。

「ここはnightの寮だよ」

「nightの寮……?」

「うん。nightの人しか入れない、night専用の寮。表向きには風紀委員会寮ってなってる」
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