君に、振り向いてほしいから
朝陽が目を大きく見開いた。

「そんな、寮があるんですね……。で、どうして私はここに?」

「決まってます。貴方がkingのqueenになるからですよ」

優日ちゃんがそっと部屋に入ってきた。

朝陽が戸惑ったように優日ちゃんを見る。

優日ちゃんと朝陽は姉妹。

口調も変わった姉に違和感を覚えたのかな。

優日ちゃんはそんな朝陽には目もくれず、僕をじっと見つめた。

「加入希望の方を連れて来ました。加入を考えていただけると。私はqueenを部屋にご案内いたします」

優日ちゃんが朝陽を連れて部屋を出ていった。

加入希望の人が部屋の入口に立っている。

僕、kingなりたてなのに……!

どうしたら良いか分からないよ。

「あ、加入希望の方たちですか。どうぞ中へ。面接官がいらっしゃいます」

帰ってきたらしい輝夜と一緒に加入希望の人たちが入ってきた。

nightは加入希望を出すと、僕らとの面接をしてから入れるようになっている。

面接と言っても簡単なもので、加入希望理由と腕前を試してから、入れるように手続きをする。

輝夜がいてくれるのなら嬉しい。

多分、優日ちゃんが連絡してくれたんだろう。

「じゃあ、加入希望の理由を教えてもらっても?」

「はい。俺、妹を守りたいんです」

輝夜が軽く眉を上げた。
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